俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

「ね、そんなことより杏の格好見た?可愛いでしょ。キヨちゃんコーデよ」

華さんが悪戯な視線をよこす。
は?キヨの?

「なんでそこにキヨが出てくんだよ」

キヨに対して訝しげに睨む事しか出きない。

「で?どうよ。杏、可愛いでしょ?」
「私が選んだのよ、可愛くないわけないじゃない!杏ちゃん、着せがいがあったわー」
「あ、あの。初めてこんな服を着てみたんですけど、どうですか!?」

酒も入った女のテンションに若干ついていけず妙に冷静になる自分がいるが、杏が可愛いのは間違いないので素直に賛称をする。

「杏、すげぇ可愛い。このまま隠して閉じ込めたいくらい可愛い」

やべ。
後半は願望が駄々漏れた。


「ほ、本当ですか!恭一君。嬉しいです」

お酒を飲んで上気した頬。
幸せそうに緩む口元。
安堵して潤む瞳がゆっくり下がる。

うわー。
なんなのこれ、可愛すぎる。

「華さん、もう連れて帰っていい?」
ってゆうか、連れて帰ろう。
駄目でも連れて帰る。

すぐさま鞄を持ち直し、杏の腕をとって立ち上がろうとすると、

「駄目に決まってるじゃない。何バカなこと言ってんのよ」

予定外の奴からの駄目だし。

「なんでキヨに言われなきゃなんねーんだよ」

「あら、いいのかしら?杏ちゃんに聞かれたくないあんな事やこんな事をあることないこと吹き込むわよ」

ないことは駄目だろうがっ!

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