俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「ふふふっ、仲良しですね」
ったく、杏も俺の気も知らないで、何呑気に笑ってやがるんだよ。
「だいたい、何でお前がここにいるんだよ。俺はまだお前の事許してないからな」
「別に恭一のお許しなんて要らないわよ。それに、あんたがしょうもないこと言うからこんなことになってんじゃない」
「なんの話だよ」
ヒートアップするキヨと俺の言い合いに華さんがストップをかけた。
「そうねー確かに元はといえば小早川君のヤキモチからよね。ほら、杏。ちゃんと聞いてみなさい」
なんだってんだよ。
「杏?どうした?」
「は、はい。あのですね。昨日の……朝の事ですが……」
そう言われて思わず目を丸くした。
そうじゃん、キヨが居てスッポ抜けてたけど、何よりもその事を杏に弁解しないと。
「杏。ごめん。その事を俺から先に話させて?」
杏の両手を取って懇願するように眉を寄せた。
杏が頷いたのを見て、ありのままの情けない俺の心境を白状する。
どうしようもないくらい溺れてるんだ。
「あのな、杏に眼鏡を勧めたのは……コンタクトが似合わないとかじゃなくて、杏が可愛すぎて、他の奴等に見せたくなくて、思わず口からでたんだ」
恥ずかしくて剃らしていた視線を杏に戻すと大きな目を更に大きく見開いている。
「悪かった。言い方が悪すぎた。杏が可愛すぎて誰にも見せたくなかっただけ。コンタクト、似合ってるよ。大丈夫」
杏に向かって笑みを見せながら握っていた両手を引っ張って抱き寄せる。
華さんやキヨがいようが構うもんか。
視界の端に痛々しい顔をしてこっちを見ていようが気にするな、俺。
抱き寄せたまま不埒にも杏を堪能する。
こんなときだけど、堪んない。
やっぱり帰るか。