俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
一瞬流されそうになった杏もすぐに我に返り俺を突っぱねた。
「や、あのっ。わ、わかりましたから!ごめんなさいっ、ちょっと離れて下さい。は、恥ずかしい!」
俺の願いも虚しく杏は俺との間に距離を取る。
ちぇ。
「ね、杏?言った通りでしょ?」
「本当、バカみたいよね」
「はい!ありがとうございます」
3人で顔を合わせて確かめ会う。
なんなんだよ。
「なぁ、なんなの?」
除け者にされた気分で憮然とする。
クスクスと笑いながら華さんが教えてくれた。
「昨日と今日、杏が眼鏡で会社に来てたのよ。最近少しずつ頑張ってたメイクもそこそこにね。
で、聞いてみたら小早川君のあの台詞ね。そんなのすぐにヤキモチだって分かったけど、杏、落ち込んでたんだから」
げ。耳が痛い。
「気分転換も兼ねてお買い物に連れ出したのよ。女の子はおしゃれするとテンションが上がるもの。そしたらお店にキヨさんがいてね」