俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

「ご愁傷さま」

と哀れみの言葉を残して杏とキヨのもとへ戻っていった。

なんだよ、前まで気にも止めなかったくせに。

杏は俺のなんだよ。
今更チヤホヤ煩いんだよ。
やっぱり閉じ込めるか。

ズキュンと撃たれた心臓の矢の穴から嫉妬のマグマが噴き出しそうだ。

俺の苦悩なんて杏にとってはちっぽけなもので、自己評価の低すぎる杏に危機感なんて全くない。
それは自分を卑下しているわけでなく、ただただ異性との関わりが無さすぎて、『まさか自分が』という無防備すぎる考えの持ち主だ。


頼むから、頼むから、その笑顔をむやみやたらに振り回さないで欲しいと願うしか出来ない日々はきっとこれからも続くんだ。


━━━ fin ━━━