俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集


人にぶつかって、律儀に謝りながら歩いてる。ペコペコしてたら、ほら又ぶつかった。
可愛い姿をずっと見ていたい気もしたけれど、杏がぶつかって野郎にナンパされても困るからここいらで歩み寄ってやるか。

緩む頬を気づかれないように表情を固くしめ、杏を見つめながら立ち上がると杏がこちらを向いてその大きな目を更に丸くして俺の存在に気が付いた。
すぐにふにゃりと笑顔に代わり、釣られた俺もせっかく締めた頬が緩んでしまう。

そのまま杏と視線を合わせてお互い近づいた。
だけど、さっきまで嬉しそうに目を細めて照れながら歩いていた杏の顔が、一瞬曇る。
なんだ?

「すみませーん。ちょっと良いですか?」

はっ?

「あのぉ、私達道に迷っちゃってぇ。一緒に案内してもらえませんかぁ?」

あぁ?

突然目の前に現れた派手目な化粧と格好をした女二人が俺の行く手を遮った。

視界も遮られ、杏の姿を見失う。
ちょっ、おいっ!
なにしてんだよ!

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