俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「杏?」
視界に映った俺の愛しい彼女は不安そうに目を開き、その大きな瞳が僅かに揺れる。
ツンツンと引っ張るだけで口を一文字に固く結んでいる。
不安と戦っているかのように。
うっわ、なんだよ。
反則だって。
ちょっ、これはやきもちってやつじゃね?
すでに女達なんかに意識はなく、何か話しかけられているようだけど頭になんか入らない。
手を伸ばし杏を安心させるように笑顔を向け、頭を軽く撫でてやる。
少しほっとしたのか小さく頷いた。
近くで女達が息を飲む音が聞こえる。
まだいたのかよ。
「ねぇってば、何その子。私達が先に声をかけてたんだけど」
語気を強めて喚いてくる。
チッ。
空気を読めねぇのはお前らだよ。
「なぁ、お前ら何?関係ねぇのはお前らだけど。俺の女に何言ってんの」