俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
杏の心の中で素直になれない葛藤が目に見えてわかってしまう。
そうしてしまったのは俺のせいだし、ここで怒ってキヨと帰られても仕方がないかもしれない。
でも、もう限界なんだ。
この手を取って一緒に帰ろう?
「ね、ねぇ。何よそれ。なんなの?
ねぇ、恭一ったら何言ってるの?」
すでに蚊帳の外にいた弥生さんが口を挟む。お呼びじゃないってことくらいわかんねぇのかよ。
「ねぇ。もう一回始めましょ?私達、いい関係だったじゃない」
誰からも相手にされずに話し続ける弥生さん。
マジで黙れって。
「あーもぅ、本当煩いんだけど。どっからそんな台詞が出てくるわけ?
いい加減どっか行けよ。あ、又どっかで見かけても声もかけるなよ。迷惑だ」
中々手を取らない杏から視線をはずし、冷やかな視線を弥生さんに投げ掛ける。
顔を作る必要もねぇしな。
「なっ、━━━━━━っ、」
言葉にできない怒りが弥生さんから伝わる。
っていうか、俺があんたに乗り換えるなんてどっからくるんだよそんな自信。
「あっ、そういうことね」