俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

「…………キヨさん。今日は恭一君と帰ります。でも、又予定を聞いてもいいですか?一緒に遊んでください!」


杏がふわりと笑って、キヨの目を見ながら小さく頷いて、少し呆れたようにクスクスと二人で笑い合っていた。

その後は俺に向き合って、一度目を伏せ俺の手を取った。

「恭一君。女の人に対してあれは言いすぎです。でも……もう不安にさせないで下さいね」


そう言われて、手に力を込めて腕の中に抱き寄せた。

「い、いやっ、ちょっと!離れてくださいー!!!」

はぁぁぁぁぁぁ━━━━!!!!
良かった。
本当に良かった。

「ちょっと、恭一!恥ずかしいわね!」

何事もやりすぎはよくないよな。
教訓だわ。

「よし!帰るぞ、杏!キヨ。じゃあな」

そう言って手を引きながらモールの出口へ向かう。

チッ、キヨさえいなければこのまま杏にキスしたかったのに、だけど障害はキヨだけでなく公共の場ということで。

ほんの少しの時間も惜しい。
問題も解決した今キヨに構ってる暇もない。

悪ぃな、キヨ。
もう我慢出来ないんだ。

「キヨさーーーーーん」

なんて泣きそうな声で杏は叫んでいるけど、
もう限界は超えていて。
抱き締めて、その髪に指を絡めて、キスがしたい。
甘い、濡れるような声で啼かせて、
涙を流して俺を求めて欲しいんだ。

あぁごめん。
もう今日は加減が分からなくて、力の限り抱き潰してしまうかも。

それでも、離してなんかやれないんだよ。

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