俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
タクシーに飛び乗って、家に入った瞬間から杏の唇を奪って抱き締めた。
手に持っていたグラタン皿だけ丁寧に床におき、玄関から動けずにそのまま杏を抱いた。
くたりと床に倒れ込む杏を抱き上げてベットへ向かう。
その間も杏はされるがままだ。
愛する最中に、声に出していかに杏が愛しいかを囁きながら行為に没頭した。
今はもう、俺の事だけ考えてろよ。
恥ずかしいと思う暇もないくらい愛してやるから。
好きだ。
好きなんだ。
気を失うように意識を飛ばした杏を抱き締めて、激情のまま抱き潰した事を何度も謝って俺も眠りに落ちた。
目を覚ました杏は、いつかの朝のようにベットの上で正座して昨夜の恥ずかしすぎる逢瀬への文句と、昨日の弥生さんへの態度について力説した。
結局、グラタンどころか夕飯すら食べれなかった。
でも、目の前で行われるそんな杏の怒り方が、どうしても可愛すぎて、反省しなきゃいけないのに思わずにやけてしまう。
それが更に杏の逆鱗に触れて、怖れていた事態が起こる。
「反省の色が見えないので、暫くお泊まりもしません!おさわりも禁止です!!」
えええぇぇぇぇぇ!!!
無理。
無理無理無理無理無理無理無理だから!!
杏に触れないなんて俺、死んじゃうから!
「お願いっ考え直して!本当に無理だから!」
「だ・め・で・す!」
それに、と続けた言葉は俺を煽る台詞にしか聞こえなくて。
「それに、………………昨日。私にやきもち妬かせたバツです。……寂しかったんだから」