俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
振り返ると恭一君は不機嫌そうに眉を寄せていて。
さっきにやけてたのになんなんだ。
「どうしましたか?」
不機嫌になるなら送ってくれなくてもいいのにな。
私、同窓会楽しみにしているのに。
なんとなく、気分がめいる。
「……………………その格好で行くの?」
恭一君ら私から視線を剃らせて、ため息混じりに低い声を吐き出した。
「………………そうですけど。同窓会には合いませんでしたか?」
頑張って私なりに着飾ったんだけどな。
キヨさんは可愛いって言ってくれたのに。
「………………ごめん。違う。杏、ちょっとこっち来て」
そう言って手招きされるから、おずおずと近寄って恭一君の隣に座ろうと思ったら手を引かれて彼の膝の上に座らされる。
うおっ。
「き、恭一君!」
横抱きに座らされて、降りようともがいていたらぎゅうっと抱き締められた。
「ごめん。ただの嫉妬。杏が可愛すぎて他の野郎に見せたくないだけ。このワンピース可愛い」
私を抱き締めて、恭一君の顔は私の肩に埋めていた。
だから彼の表情は見えないが、なんとなくさっきまでのもやもやが晴れて、クスリと笑みが漏れる。
「誰も私の事なんか見ませんよ」
軽く頭を撫でてあげよう。
恥ずかしかったのか、すり寄るように肩の重みが増す。
ふふふ。