俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
甘える恭一君と少しだけ甘い時間を過ごして、17時半前にホテルに着いた。
エントランス横のカフェで茜ちゃんと、優ちゃんと待ち合わせてから一緒に会場まで行く予定だ。
恭一君にはホテル前で下ろしてもらえると思っていたら、彼は駐車場に車を止めてカフェまで一緒に行く言ってきた。
「友達が来たら帰るよ」
一人で待てるのに。
でも送ってもらっておいて『帰って』なんて言えないし、本当に申し訳ない。
それでも、一緒にいられるのはやっぱり嬉しい。
なにげない会話をしながらカフェに迎う。
「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
入口で声をかけられると、そのすぐ後に
「杏ちゃーーーーーん!」
と声をかけられた。
「すみません、待ち合わせです」そう言って声をかけられた方へ小さく手を降る。
にこやかに笑顔をかけられて、その席まで案内してもらった。
「茜ちゃん!」
「杏ちゃん!」
「「久しぶり~!!」」
お互い両手を合わせて握りあう。
隣に恭一君がいるのも忘れて女子高生のようにはしゃいでしまった。
「ね、ねぇ杏ちゃん。その……彼氏?」
手はそのままに、茜ちゃんの視線が私から外れて隣に移動する。
あっ!
そうだった。
思い出して恭一君に目をやると、呆れたような笑みを浮かべている。
は、恥ずかしい。
茜ちゃんと手を離して恭一君に向ける。
「ごめんね、えっと。
小早川恭一君です。あ、あの……彼氏、です」
うわーうわー。
彼氏、とか。
そうなんだけど!そうなんだけど!
改まって紹介とか。
なんでこんなに恥ずかしいんだろう。
「こんばんは。小早川恭一です。相川茜さんですよね。杏がお世話になってます。杏、まずは座ろうか?」
うっ、
そうですね。
椅子に手をかけると、恭一君が静かに椅子を引いてくれて「ほら、」となんでもないようにエスコートしてくれて、
そのスマートな王子さまぶりに顔が赤くなる。