俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

思わず茜ちゃんを忘れて恭一君と話してしまい、思い出して茜ちゃんを見ると何か嬉しそうに目を細めていた。

「茜ちゃん、ごめんね。どうかした?」

「ううん、仲がいいんだね。あのね、私も彼氏ができたの。後で又お話聞いてね」

なんと!
高校時代には出来なかった恋バナトークが出来るなんて。
あぁ、少しは成長出来たのかもしれない。


「うんっ!あっ、そろそろいこうか?優ちゃんどうしたんだろう。遅いね」

そう言ってキョロキョロ周りを見渡しながら席をたつ。
まだ優ちゃんは来ていない。

心配だね、と話しているうちに恭一君が私達と茜ちゃんの分の伝票を持ってこれまたスマートに会計を終わらしてしまっていた。

「ご、ごめんなさいっ。払います!」

茜ちゃんが慌てて恭一君に駆け寄って財布を取り出すが、受けとるような恭一君ではない。

いやいや、と押し問答を繰り返している。

その光景を見て、やっぱり私も成長出来たみたいだと、確信した。
こんなとき、私もきっと受けとるまで気にしていたはずだから。

だけど、恭一君は絶対受け取らない。
そして、これ以上は彼が気にしてしまう。
さぁ、どうするんだった?


「茜ちゃん、ありがたく奢ってもらいましょうか。恭一君、ありがとうございます。
ごちそうさまでした」

にっこり笑ってお礼を述べて、茜ちゃんにこっそり耳打ちする。

「茜ちゃん、大丈夫。後からちゃんとお礼をしておくから」

申し訳なさそうにしている茜ちゃんも、私の台詞にホッとしたようで、「ありがとうございます」と、折れてくれた。
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