俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
俺の目元が下がるのに気付いた杏は、俺がプリンを欲しがってると思い込んで、掬ったプリンを差し出してきた。
「食べますか?」
「クッ、いや、いいよ。杏が嬉しそうなのが可愛かっただけだから」
「もぅ、又そうやってからかわないでください!」
俺の前に差し出されていたプリンを自分の口に運び、「もう、あげません」と照れ隠している。
小さなプリンはあっという間に食べ終わって、杏はきちんと手を合わせてご馳走さまをする。
「美味しかった?」
時計を見ながら杏に訊ねれば、幸せそうに頷く杏。後15分か。
「俺にも味見させて?」
そう言うと大きな目を丸くして「食べ終わっちゃいましたよ!」と焦っている。
大丈夫、まだ残ってるから。
杏の肩を抱き寄せ強引に唇を寄せる。
反射的に逃げそうになった杏の後頭部を反対の手で押さえて逃げられないようにすかさずカバー。
抱き寄せた腕を腰に回し、力を込めて会議室の椅子から俺の膝に座らせた。
その間も、なんとか逃げようと暴れている。
やっと杏に触れられたのに、逃げるなよ。