俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

「君さ、今日は同窓会って知ってた?」

恭一は杉本の話の意図が分からず首をかしげながら「知ってますね」と、とりあえず答えていた。


「なのにさ、久しぶりに旧友と楽しく飲んだり話したり、これから先繋がる縁があるかもしれないのに、君が禁止にする権利はないと思わない?」


両手を腰に当て、大袈裟に首を振りながら杉本がもっともらしく呟く。


「……そうですね。だけど、それこそ先生には関係のない話だと思いますが?」

「いやね、笠原くんと次も会えたらと思っている生徒が可哀想でね」

「それはご自身の事ですか?」

フッ、と鼻で笑うような恭一君の態度に杉本の眉間が険しくなる。

きょ、恭一君、お願い穏便に。

杏の願いも空しく空気が不穏になっていく。
遠くでモブが再び騒ぎ出すのが聞こえた。

「おいおいおい、彼氏登場じゃね?」
「おいおいおい、すぎやん参戦してね?」
「おいおいおい、俺にも見せろよ!……あれ?」




ええぃ!!煩ーーーーっい!!




再び出来る人垣に軽く目眩がした。
モブに加わって、明らかに黄色い声も交じる。

「きゃーーー久しぶりに見た!王子!」
「えっ!?何?笠原さん?誰よそれ!」
「ほら、あの相川さん達といた地味な子だって」
「はぁぁぁん、やっぱりかっこ可愛い!」



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