俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
もう、本当に勘弁してほしい。
黄色い声援には目もくれず、杉本にまっすぐ視線を合わせながら恭一君も負けじと言い返していた。
「確かに、杏を心配して色々口は出しましたが、杏が本当にやりたいと思っていたら僕に従がったりはしないんですよ」
「は?」
「今回の事でいえば、お酒をのみたかったら飲んでただろうし、連絡先を交換したかったらした、と言うことです」
「っ、」
「それをしなかったと言うことは杏にとって必要がなかったんじゃないですか?」
「っ、それは君が約束させたからじゃないのかい?」
「んーー。そう言っておけば断る口実にもなりますしね。僕を言い訳に断りやすいですからね」
仮にも教師で、担任で、目上の人間に尊大な態度も取るに取れない杏のその礼儀正しさに付け込まれている事に気付いていない杏は、物腰は柔らかだか、杉本にたいして相手にもしていない様な恭一の言動は頼もしくもあり、少しヒヤヒヤしてしまう。
「っ、」
「じゃあ、失礼しま…「おいおいおい、小早川じゃね?」」