俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

ここで終わると思っていた会話にモブが割り込んできた。

……誰だったっけ?


「やっぱりーーー!小早川じゃん」

「………………佐藤?」

そうそう、佐藤くん。
確か、2組!


「そう、なんだよ笠原さんの彼氏ってお前?」
「あぁ、お前松校行ってたんだな」
「……、なぁまさかお前が束縛してんの?嘘だろ?」
「は?何が?」
「いや、だから笠原さんの束縛彼氏ってお前?」
「そうだけど?」
「はぁぁぁぁぁ????何の冗談!?」
「なんで?」
「だって、お前っ、」


そのまま視線を私に合わせてきた佐藤くん。何か言いにくいことでもあるのかそわそわとした態度だ。


「恭一君、お知り合いですか?」


とりあえず早く話を終わらせて帰りたい。
何をもじもじしているのか分からないが、終わらせてください!

そんな気持ちをあからさまに出して恭一君に話しかけると、理解してくれたのか苦笑しながら頭を撫でてくれた。

「クク、佐藤は小中と一緒だったんだ」
「幼馴染みですか?」
「うーん、まぁ中学以来会ってないけどな」


とりとめのない普通の会話をしているだけなのに、モブ改め、佐藤くんの目が何故か見開いていく。


「っ、あのさ小早川だよな?」
「はっ?」
「いや、だって!お前っ、顔が、」
「なんだよ」
「なんだよ、そのデレデレした顔!」
「はぁ??」
「うわーーーマジか」


恭一君の顔?
恭一君と顔を見合わせて、互いに首をかしげる。
いつもと同じでしょ?


「杏、俺何か変?」
「羨ましい限りの王子顔ですよ」
「おっ、何何かっこいいって?」
「そうは言ってません」
「杏に言われるとは。ヤバイ、抱き締めていい?」
「何言ってるんですか!」


いつもの調子でやいやい言い合っていると佐藤くんが戸惑いながら口を挟む。


「…………あのさ、まだ俺らいるから」


はっ!!!!
忘れてた。
しらーーーっとした空気と苦虫を踏み潰したような杉本先生が忌々しそうに私たちを取り囲んでいた。


「きょ、恭一君。帰りましょう」
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