俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集


「恭一君、来てくれてありがとうございます。先生が何であんなことを言い出したのかさっぱり分からなくてどうしたらいいのかと思っていたので、……助かりました」

「そっか。…………なら良かった」

「はい。ありがとうございます」


恭一君に手を引かれテクテクと歩きながら穏やかな時間を過ごす。
楽しかったけど、無駄に疲れてしまった。
そこで終わりかと思われた追求が違う形で降りかかる。


「頼むから、もう少し危機感を持つように」

「そうですね!頑張ります!」

「…………なぁ、本当に分かってる?例えばどうやって頑張るんだよ」

「えっ?そうですね……手始めに護身術的な?」

「違うから!いや、それはそれで違わないけど、なんてゆうか無自覚的な無防備的な事をさぁ!」


えっ違う?違わない?
どっち!?
あれ?怒られてる?私。


わたわたしながらも続く説教に、こんな時でも王子様のようなエスコートは完璧で。パーキングに置かれていた恭一君の黄色いビートルに着くとブツブツ言いながらも助手席のドアを開けて促してくれる。

彼は何だかんだと甘い。

過去の女癖以外は完璧な、周りから王子と呼ばれる気も分かってしまう恭一君が、こんな何の特徴もないような地味な私と付き合ってくれているのか分からないけれど、彼が私の事を『好きだ』と言ってくれるその言葉は本物だと思うから。

だから、私も精一杯恭一君の思いに答えられるよう愛を返したい。

どうしても彼の周りにいる可愛い女の子の事を気にしないなんて無理だけど、恭一君と釣り合うように、恭一君と並べるように、一緒に歩いていきたいと願う。


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