俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「杏?聞いてる?」
おっと、まだ説教は続いていたみたいだ。
「えーっと、聞いてますよ?」
嘘付け、と言わんばかりに訝しげな視線を向ける恭一君に苦笑いを返す。
何だろう、何故かそんな視線でさえも胸が暖かくなる。
恭一君が凄くかっこよく見える。
いや、一般的にも王子、なんて敬称されるくらいだからイケメンさんはイケメンさんなんだけれども!
そう言うことじゃなくて、何だろう。
何か胸がいっぱいになる。
頑張ってお洒落した姿を褒められて。
可愛いヤキモチの小さな束縛も見せてくれた。
困っているときに颯爽と表れて助けてくれた。
何も言わなくても信じてくれた。
ちょっと説教臭いときも多いけど、
(…………今も中々終わらないけど)
ん〰〰〰〰〰〰!!!!!
「恭一君!」
「はい?」
「なんだか胸がいっぱいです!」
「唐突に何!?」
「何だろう。何か突然好きです!」
「何か!?突然!?ってどういうこと!?」
「例え過去がとんでもなくどうしようもなくとも!こんな素敵彼氏で凄く幸せです」
「褒められてないよね?」
「違う高校の女子達に無駄に黄色い声援が飛んでいることすらも今日は感心しました」
「だから、それ褒められてないでしょ!」
「ふふふふふ」
「…………杏?飲んでないよね?」
「ふふふ、飲んでないですよ?」
うわぁ、ドキドキする。
飲んでないのに頭がふわふわして、顔が熱い。