俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
━━━side 杏
「ハイ!全員揃ったしもう一回カンパーイ」
目の前に座るノリの良さそうな男の人からグラスを渡される。
怪訝な顔をしていたのが分かったのか、ニッコリと爽やかな笑みを浮かべて「オレンジジュースだから」と教えてくれた。
それでもまだ素直に信じられなくて疑いながら口を近付けたみたら、うん、オレンジジュースみたいな臭いがする。
特にアルコールに強いわけではないし、こんな状況で飲むのはさすがに憚られる。
盛り上がる友人に、とにかく説明を求めたくて乾杯のあとに服を引っ張って顔を向けさせた。
「えっ?何?どうしたの?杏ちゃん」
ニコニコ・ニコニコ本当に楽しそうにしているところ悪いけど、何でこんなところに私がいなきゃいけないのかさっぱり分からなかった。
「ねぇ、ほのかちゃん!な、何!?これ!」
「えーーー?だって合コンだって言ったら杏ちゃん来なかったじゃない」
「そりゃそうだよ!今日ご飯って言ってたから来たのに!」
「ダメだよ、杏ちゃん!こんなに可愛くなったんだから出会いも大切にしなきゃ!」
「いや、だから私か、か、か、彼氏いるって言ったじゃない!」
「えぇーーー宮学の王子?杏ちゃん!まだ言ってるの?もぅ。ちゃんと現実見なきゃ駄目だよ?」
なんてこった。
嘘なんてついてないのに全く信じてくれない。
あれか。あのときか。
写メないの?なんて言われたときに写真なんてないって言ったから『あっ!』とこの前同級生の時に聞いた恭一君の別名を伝えたんだった。
そう言えば『宮学の王子って言われてたらしいの』なんて言った時、ほのかちゃん呆れた顔してたっけ。
うわぁ…………。
困る!困る!
と、とりあえず逃げねば!
私との会話が終了したものとして、ほのかちゃんは再び目の前の男の人と話し出した。
早々に退散して、この場をおいとましよう。
うん。
挙動不審に鞄を手に取り、お手洗いに行くふりをして部屋を出た。
よし!
気づかれなかった。
先ずは恭一君に連絡!
こーゆうことは後回しにしたらした分だけややこしくなる筈。
一目散にお手洗いに入り、他に誰もいないことを確認して恭一君に電話を掛けた。
━「もしもし?」
「きょ、恭一君!助けてくださいーーー」