俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「ふふふ。もう結構です!そんなにジュースばかり飲めません。ふふっ、」
「えーでもさ、このオレンジジュース美味しいって言ってたじゃん。もう一杯飲んどきなよ」
はっ!?
ジュース?
な、割りに杏の声が……
「ねぇねぇ、隣行っていい?なんでそこから動かないわけ?隣おいでよ」
「ふふっ、動きたくないからいいんです!それに、恭一君がお友達から離れないようにって言ってたんです!」
杏!!
「杏ちゃーん、仮にもよ?杏ちゃんの彼氏が『宮学の王子様』だったとしても、そんな事言うわけないじゃん!別人か、杏ちゃんの妄想だって!」
ブッ、妄想って。
「んふふ。恭一君、迎えに来てくれるって言ってくれたからそろそろ帰ります」
でも……オレンジジュース?
それ、確実に酒入ってるやつだろ。
会話に耳を傾けていると、ドアの上の方に付いている小さな曇りガラスに影が写る。
きっと中の野郎共が杏を帰さないように入口を塞いだかなんかだろう。
迎えにきて正解だった。
「なぁなぁ、今回俺マジで杏ちゃん狙ってんだけど」
「お前も?何かさーなつかせてみたくなるよな。庇護欲っての?」
ドア越しに聞こえる男の声。
はぁぁ!?やんねーよ!
そろそろ入らねぇとヤバイか?
そう思って、
コンコン、とドアを叩きがチャリと中に入ると友人であろう女の子に頭をコテンともたれかけ、オレンジジュースだと言われているドリンクを両手にもって頬を染める杏が目に入った。