斜め上の彼女
それは哀しい偶然。
一月ほど前、大学時代の友人の結婚式で訪れたホテルで打ちのめされた
談笑する課長と振袖姿の我社のマドンナ的存在、受付嬢の池島さん。ご両親らしき姿も見える。
後日、会社で流れた多くの男性社員をがっかりさせた池島さんの婚約の噂。
結納だったんだ・・・・・・・・・・。
入社してすぐ、貴方の課に配属されて、ガムシャラに頑張って2年前から貴方のアシスタント的立場にやっとなれて。
自分でも美人でも取り立てて優秀でもないことは嫌になるくらい分かっている。
エリートと称されるあなたに不釣り合いなことも。
それでも毎日同じ空気を吸い、同じ空間にいて、隣で声を聞いていると、してはいけない期待をしてしまう。
仕事には厳しいくせに、ふとした瞬間優しくて、よく出来たなと時々頭をご褒美のように撫でてくれる。
丁寧に仕事を一から仕込んでくれた貴方は、エリートというだけではなく長身イケメンでスマートな立ち振る舞い、社内はおろか社外にもファンがいっぱいいて。
好きにならないのがおかしいでしょう?
どんなにストップをかけようとしたって、坂道を転がるように恋心は加速してしまった。
少し緩んだネクタイの結び目に手をかけてゆっくりと外し、綺麗にアイロンがあてられたシャツのボタンを外す。