斜め上の彼女
恥ずかしくて
情けなくて
そして悲しくて
目の前の萌黄色の複雑な織りのベッドカバーにパタリパタリと涙が落ちた。
「佐原」
「申し訳ありませんでした!課長の婚約者の池島さんにも酷いことをするところでした」
「佐原!」
「もう遅いですし、課長はこのままホテルに泊まってください。支払いは勿論わたしがしますから・・・・・」
「佐原!!」
強く呼ばれて身体が竦み、思わず顔が上がる。
わたしが外したボタンはそのままに、ベッドで胡座をかいてじっと見つめてくる鋭い視線に突き刺されて死にそうだ。
課長が地の底まで届きそうな深い溜息をつく。
「・・・・・・・・・・お前、4年もオレの下にいたんやろうが。手に入れた情報は正確かつ的確に分析して使えって教えたよな?」
「は・・・・・はい!」
「バカがっ!」
吐き捨てるように投げられた言葉に今度こそ息の根を止められた。
ーーーーーー帰ろう。
零れる涙を手の甲で拭い、ベッドから降りようとした。