斜め上の彼女
頭が真っ白になる。
「あっ愛人はムリです。池島さんにも悪いしっ」
3度目の手刀。
「情報は正確性重視だ!一体どこでそんなガセネタを仕入れた!池島は弟の嫁さんになるんだ」
「おとう・・・・・と・・・・・?」
「そうだ!この暴走処女が!」
混乱する。
それじゃ、わたしのしたことは・・・・・?
ヘナヘナと力が抜けた。
呆然と座り込むわたしをベッドにのぼってきた課長が引き寄せて腕の中に閉じ込める。
「・・・・・ったく。何か企んでいるんやろうとは思ったけど、お前オレの想像の斜め上をいくんやからびっくりだよな。マジで、好きやなかったらドン引きだ」
す・・・・・好き・・・・・?
耳をつけた課長の胸から規則正しい心臓の音。
背中を愛しい大きな手が宥めるように上下に動く。
ずっと緊張していた心の糸がプツンと切れて、わあわあと声をあげて長い間泣き続けた。
「・・・・・お前、この部屋の支払いで今月の給料の半分近くなくなるだろ。なんでこのホテルなんだ」