君と出会わなければ
「とりあえず乗れよ!また休む気か?」
「い、いや、行きます」
アタシはアヤトの側に駆け寄り、またヘルメットをかぶせてもらった。
てか、アヤトって案外顔整ってるのね。
ちゃんと顔見れてなかったけど、鼻筋スッて通ってて、肌つやつや。
目もふたえでたれてて、整いすぎじゃない?
そら、カナエもかっこいいって言うか...
「い、いいよ!自分で乗れるから」
アヤトがまた降りようとするから、アタシはそれを全力で止める。
またお姫様抱っこでもされたら、心臓が止まるわ。
━━━ブォォォォン...
あれ、このエンジン音朝も聞いたような...
「てか、何時からいたの?!」
エンジン音に負けないぐらい大きい声で、問いかける。
「6時ぐらい?ルナが何時に出るかわかんなかったからさ!」
優男の域越えて、こいつは仏様か?(-ι-З)
━━━シーン...
急にエンジン音が止まり、辺りが静かになる。
「てか、今日ルナすっげーかわいいな、デートかなんか?」
「ち、ちがう!彼氏なんかいないし」
アタシは真っ赤になってるであろう顔を見られたくなくて、わざと下を向いてそうつぶやく。
「そっか!なら安心!じゃあ、出発しまーす♪」
え?なに?今の?
安心?はい?
━━━ブォォォォン
またうるさいエンジン音が復活し、バイクは走り出した。