君と出会わなければ
「ルーナ!!!もーう!なんで昨日休んだーー!!」
「カナエごめんごめん!寝坊しちゃった(笑)」
昼休みになった瞬間に、一番前の席のカナエが席を立ち、すごい顔をしながらアタシに近づいてきた。
アタシの言い訳を聞いたカナエはアタシの頭にババチョップを食らわせた。
「てか、なになにー?ルナ、入学式のときと顔も服装もちがう!!さては、恋かー??♡♡♡」
ルナはアタシの顔をジーーーっと見つめてくる。
たしかにここまでちゃんと化粧してたらさすがに、そう勘違いしてもおかしくないよね(笑)
んー、でも、別に恋してるとかそんなんじゃないんだけどな????
「恋とゆーか、なんとゆーか...やっぱり高校生なったんやし、化粧ぐらいちゃんとしとかないとなーみたいな?(笑)」
カナエの質問をうまいことかわす。
カナエは納得したのか、アタシの隣にちょこんと座ってお弁当を開く。
「よし!いないよね!ルナ!アタシ、好きな人できちゃった♡」
ルナは辺りをこれでもかというほど、見渡し目をキラキラさせながら、アタシにそう言う。
は、早くないか?と心で思うが、だいたい予想はついていた。
「うそー!だれだれー?」
アタシは言われるであろう名前を頭のなかで想像する。
「アヤトくん♡♡♡」
...やっぱり。
「そ、そうなんだ!!でも、だいたい想像ついてたよ(笑)」
「まじー?!もう今日もずっとしゃべっててさー♡クールに見えて意外に話しやすくて、今日学校が終わったあとしゃべることになったー♡」
━━━ドクッドクッ...
アタシの心臓が、低い音を立てて、少しずつ早くなる。
もう完全にこれ、嫉妬してる。アタシ。
「へ、へぇー!!よかったやん!!カナエなかなかズバズバ行くね♪」
無理やり笑顔を作ってみる。
「やっぱ!狙った人は押して押して押さないと!アタシのなかに引くって言う二文字はないからねー(笑)」
カナエはアタシの表情になんにも気づかず、嬉しさからなのか、目が常にキラキラ輝いていた。