君と出会わなければ
━━━キーンコーンカーンコーン
「おわったー!!!アヤトくん!いこいこ♪」
カナエがみんなに聞こえるぐらいに大きな声で、アヤトに言う。
アヤトは「おっけおっけ」と頷き、帰る支度をする。
「ルナ!またあしたね♪ばいばい!」
「うん!ばいばい!」
カナエはアタシに向かって全力で手をふる。
アタシはなんとか笑顔を作って、カナエを見送った。
一瞬アヤトと目が合ったけど、アタシは反射的にそらしてしまった。
窓の外は下校する、生徒で溢れかえっていて。
その中には、カナエとアヤトの姿もあった。
アタシは二人が出ていったのを確認すると、なぜか脱力感に襲われて、床にしりもちを着いた。
「恋愛しんど~」
そんなことを思いながら誰もいない教室でひとりボーッとたそがれてた。