君と出会わなければ
「よし!行くか!これルナの!」
カズキは足早にエレベーターから降りてくると、アタシにヘルメットを渡した。
「バイク乗ってる人って、だいたいヘルメット二個持ちなの?」
アタシは渡されたヘルメットをかぶりながら、カズキに問いかけた。
「んー、まぁ、友達とかと走りにいくとき、まだ免許ないやつも多いし、そいつらのために俺は持ってるかな?って、ルナ誰かのケツ乗ったことあんの?」
あちゃー(×_×)やらかした。
まさかその質問が返ってくると思ってなかった。
別にアヤトの後ろに乗ったこと、隠すつもりじゃないけど...
「あー、てか、ルナなんで元気なかったん?とりあえず飯食いながら聞くから後ろ乗れ~。俺腹減って倒れそう」
カズキ質問多いな(笑)
でも、答えに困ってた質問は簡単にスルーしたから、そこは助かった。
━━━ブォォォォン
カズキはそう言うと、エンジンをかけて、後ろのシートを軽く叩いた。
アタシはまだ少し痛む傷口をかばいながら、バイクにまたがる。
「痛いか?」
「へ?」
「傷口!」
「あのむっちゃ痛かった消毒のおかげでだいぶまし~」
アタシは少し嫌味っぽく言ってみた。
カズキはクスッと笑うと、自分のヘルメットをアタシのヘルメットにコツンと当てて、軽い頭突きをしてきた(笑)