君と出会わなければ
はたから見たらこれ完全に恋人同士に見えてるよな~
んま、カズキはいい奴だし、一緒にいて楽しいし...
でも、カズキは、3年も付き合ってた彼女と今日別れたわけで...
アタシは話し相手、慰め相手でしかないか!(笑)
━━━カチッ
そんなことをひとりで考えていると、エンジンが止まり、カズキは鍵を抜いた。
「つかまっていいぞ~」
カズキはそう言うと、アタシの横に立って自分の肩にアタシの腕を無理矢理つかまらせる。
痛みをかばいながらもなんとかバイクから降りることができた。
着いたのは、ここの地元の人たちがよく愛用するらしい、ファミレス。
バイク置き場には何台も単車に、ビックや、それに紛れてボロボロの自転車も何台か止まっていた。
━━━カランコロンカラン...
「いらっしゃいませ~お好きな席どうぞ~って、カズキやん!!」
「まささん、ひさびさっす♪」
「え、なに?あれ?彼女変わった?」
お店の奥から出てきた、店員さんはカズキと仲がいいのか、握ったこぶしをぶつけて挨拶を交わしていた。
すると、今度はカズキじゃなくアタシに目を向けて、目を真ん丸にして見つめている。
「あ、えーと、アタシ彼女ではなくてですね...」
「先輩違いますよ!!こいつはルナって言って、俺の相談むちゃくちゃ聞いてくれてる友達です♪」
ふーんと言った表情でまささんは、アタシたちを奥の空いてるテーブル席に案内してくれた。
周りはなかなかのヤンチャなやつらで溢れかえっていて、外のバイクや自転車はすぐにそいつらのだと理解した。