君と出会わなければ
「ほ、ほんとにいいの?」
「いいよ!てか、今から帰らすとか無理だから(笑)もう12時回ってますよ?ルナさん?」
アタシは携帯の画面を見て、納得する。
もうさっきの出来事は、昨日になっていた。
━━━ガチャッ
「お、お邪魔します!」
扉を開けると、玄関にはほんとに女物の靴しか並んでいなかった。
ヒールにブーツ。スニーカーでも、確実に女の子が履くサイズのスニーカー。
「いらっしゃい~♪カズキ!やっと新しい女の子つれてきたねー!姉ちゃん、カズキがあの女と別れてくれて嬉しいよ~」
迎えてくれたのは、黒のタイトワンピースを着た、すごくスタイルがよくて、ミルクティー色をしたロングの巻き髪がよく似合う女の人。
「もー!うるせーよ!!早く仕事行け!」
「だれだれー?この子!あ!さては、さっき救急箱慌てて持って行ってたときの?」
カズキはうっとーしそうに、お姉ちゃんに向かって大声で叫ぶ。
お姉さんは慣れているのか見事にカズキを無視して、アタシを興味津々な目で見つめる。
「あ、藍沢ルナと言います!夜遅くにお邪魔してすいません!!」
アタシは見られることに慣れていなくて、空気を変えたくて、カズキ並みにでかい声で挨拶をした。
「まってまって!むっちゃおもしろいじゃん♪ルナちゃんだっけ?上がって上がって!アタシはアスカ♪お姉ちゃんって呼んで~♪♪♪」
アスカちゃんは、アタシのことが気に入ってくれたのか、手を引っ張って家のなかに招き入れてくれた。
リビングに入ってビックリ。
むちゃくちゃ大きなテレビが真ん中にどーんと置いてあって、それを囲むように黒色のソファが綺麗に並べられている。
キッチンもこれなんて言うの?カウンターキッチン?
もうとにかく広くてきれいすぎて驚きが隠せない。