君と出会わなければ
━━━ガチャッ
「お邪魔しま~す」
「誰もいないよ」
アタシはいつもの癖で、カズキの家には誰もいないって分かってるはずなのに、入るときにはいつもこう言ってしまう。
カズキは眠たいのか、重たいまぶたをグリグリと手でこする。
その姿が子供みたいにかわいくて、胸が締め付けられた。
「おやすみ~」
アタシはカズキをベッドに寝転ばし、ふとんをかける。
そして、すぐにまぶたを閉じたカズキの髪を撫でる。
この寝顔が愛しくて仕方ない。
「カズキ好きだよ~」
アタシは独り言を、眠ってるカズキを見ながらつぶやいた。
さっき起きたことはもう過去。
アヤトがアタシを好きだとか、キスしたとかもう過去のこと。
どうでもいい。
でも、どっかに引っ掛かって邪魔する。
「ねぇ、カズキ」
アタシはカズキの腕をつっつく。
「んーーー...あ、ごめん!俺寝てた。どした??」
「カズキ。そろそろアタシ、カズキとしたい」
「......おいで、ルナ」
アタシは恥ずかしさなんてなくて、ただカズキが欲しいって思った。
カズキは理由を聞くわけでもなく、アタシをそっとベッドのなかに入れてくれた。
━━━チュッ...チュッ...
何度も何度も重なる唇。
「んっ...」
初めてカズキの舌がアタシの舌に絡む。