新年の幕開けはきみと
その日のランチは、麻美と一緒に社食で食べた。
私はBランチの鯖の味噌煮と青菜の胡麻和え、麻美はCランチの麻婆豆腐と春雨サラダ。

坂井さんから頼まれた仕事は午前中で終わり、午後からは日常業務に入れる。特に急ぎの仕事はないから、坂井さんのOKが出たら定時で帰れそう。
明日は休みだし、麻美を誘って飲みにでも行こうかな?

「ねぇ麻美。今日、飲みに行かない?」

「えっ…? どうしたの裕香?」

「うん。定時で終わりそうだし、久しぶりにどうかなって思って…。
麻美、なにか予定あるの?」

「あー、うん。ごめんね。
今日は学生時代の友達と約束があって…。また今度ね」

「うん、分かった」

麻美に断られたから、今日は1人で家飲みだな。

気持ちを切り替えて、午後からも仕事に励んだ。

「戻りました」

3時には坂井さんが帰ってきて、事務所の入り口で挨拶をしている。

そのまま私のデスクに来ると、
「吉岡、ただいま。何もなかった?」と声をかけてくれる。

「おかえりなさい、坂井さん。特別、何もありませんでした。
朝、頼まれた資料、確認をお願いしてもいいですか?
共有ファイルに入ってます」

「分かった」

坂井さんはすぐにパソコンを立ち上げた。

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