キンダーガーテン    ~温かい居場所に~
「ねぇ~。デートは何処に行ったの?」

「海。デートも初めてらしいから…ドライブして海を見て帰ってきた。」

「そっかぁ~。初デートだもんねぇ~」

「夏だったら、唯ちゃんの水着姿が拝めたのにねぇ~
残念でしたぁ~!」

チラッと先生を見ると…"言ったらダメだよ!!"って

スゴい目力で見つめられた。

いくら唯だって、言わないよぅ~。

「ねぇ~唯ちゃん、お土産は?」

あっ!そうだった。

プールに行く前のサービスエリアで買ったんだった。

「ごめんね。ちょっとしかないの。」

クッキーとチョコレートを渡すと

「えっ⁉これ…県外だよ?」

「海に行ったんじゃなかったの?」

あっ⁉しまったぁ!!

焦っていたら…

「海だから買えなかったんだぁ。
それは、お母さんのお土産らしいよ。オレもさっきもらった。」

「何だぁ~。びっくりした。
初デートで泊まりかと思ったぁ~」

「⁉」

固まる唯をよそに…

「おいおい…」って苦笑いの先生。

「まぁ~唯ちゃん相手にないねぇ~」なんてみんなが笑っている間に

これ以上ボロを出すとマズイから…

席を立ってトイレに避難した。

はぁ~

鏡を覗いて、平静を装っていると

メールを伝えるメロディが…

"なるべく早く、食べて出よう。オレ、もう…もたない…。
とにかく、おしゃべりは少なめにね……。"って…

…先生、相当参ってる……。


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