キンダーガーテン    ~温かい居場所に~
「そっかぁ~。
それを聞いて、安心した。
確かに、ほんの少し前までは…どんなに辛そうでも"大丈夫です"って
笑ってたからね。
オレも意地になって"頼れ"って怒ってたし…。
怒って頼らせるなんて無理なのにな。
まぁ、オレも焦ってたからね。…北風と太陽………みたいだね。」

「童話の??」

「そっ。
強く言ったら頑なになるけど…優しく包み込んだら
自然と心を許してくれるってね。
まぁ、もっと甘えさせて…ホントの彼氏になれるよう頑張りますかぁ‼」

「えっ??…?…。
先生って…唯の…彼氏だよね??…?……。」

「付き合ってるもんね。……彼氏だよ。
でもね、多分唯ちゃんの気持ちは…家族愛か友情かな?
お兄ちゃんか仲良しの男友達くらいかな?って…。
師弟関係からしたら、かなり近づけたけど…本物の彼氏になれるのは
もう少しオレが頑張ってからかもね。まだまだ努力が必用かなぁ~。」

先生って…時々難しいことをいうんだよね。

彼氏だけど本物の彼氏じゃないって…どういうこと??

おまけに唯の先生に対する思いは…家族愛か友情って…。

ちゃんと好きだと思うけどなぁ~。

「はい、お嬢様着きましたよ。
これから当分忙しくなりそうだから…デートは止めておこうね。
5月のゴールデンウィークまでは、電話と時々こうして帰りに送るから
それで、我慢してね。
唯ちゃんが新しい環境に慣れたら、またデートしようね。」って…

………そっかぁ。デート…無しなんだなぁ~。

明日からは、毎日同じ部屋でお仕事出来るし…電話だって

毎日出来る。

お付き合い始めて3週間………

それまでは、週末や休日に会わないなんて当たり前だったのに………

何だかスッゴく……淋しいよぅ~。

一人で過ごす時間だって…慣れてるはずなのに……。
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