キンダーガーテン    ~温かい居場所に~
いつものように彩ちゃんのお家で

今日先生にされたイタズラの報告をしてたら…

「唯ちゃん、携帯が鳴ってるよ~」

「この時間だから、ダンナじゃない?」

「悪口聞こえてたりして~」ってからかうから

「先生の訳ないよぅ~。
みんなといる時は、そっちを楽しみなさいって言ってるもん。
邪魔しないよって。」

笑いながら携帯をもらって…

「ああっ!!……………やっぱり…先生かもぅ~
お昼にメールが来てたのに…見るの忘れてたぁ…………」

「ほらっ!そんなのいいから、早く出なさい。」

彩ちゃんに急かされて出たら…やっぱり先生。

「………………もしもし。」

あっ…怒ってる………。

「あっ…あの…先生。
あのね…お昼…バタバタしてて…。えっと…。
メール…まだ読んでないの…。」

「ふぅ。……そんな事だろうと思ったよ…。
今、どこ?……彩先生ん家?」

「うん。」

「そこから直ぐのパン屋の駐車場に車を止めてるから…降りてきて。
……ちょっとドライブしよう……。」

「えっ…あっ…えっと……」

戸惑っていたら彩ちゃんが

「何?…約束してた?」

「違う…。」って首を振ったら

「でもお迎えでしょう?…はいっ!」って

夏苗ちゃんが鞄を渡してくれた。

「駅まで送ろうか?」

「大丈夫。先生…そこのパン屋さんに車を止めてるみたいだから…。」

「はぁ?…だったら直ぐに出なさい!」

「ここまで来るってよっぽどだよ!
ここは、保護者が多いから…普段来ないでしょう?
ほらっ、早く!」

唯の手を引いて、サッサと行動する彩ちゃんと海晴ちゃん。

「後はよろしくね。」

「直ぐ戻るから。」

梓ちゃんと夏苗ちゃんに声をかけると

二人は唯と一緒に表に出て、先生の車に乗り込んだ。

「えっ?…」驚く唯に

「一人で乗るのはマズイからね。
先生、この辺りを一週して、人目の無いところで降ろして。」って

そっかぁ~。…保護者の目があるもんね。

「ごめん…。」

謝る先生に…

「先生…大丈夫?」って彩ちゃん。

何?…何が…大丈夫?

「相当きてる?…切羽詰まってるねぇ。
……いい、唯ちゃんにあたったらダメだよ。…天然なんだから。」

笑う海晴ちゃんに…硬い表情の先生。

先生を見てると…不安になる。…切羽詰まってるって?

……そう言えば、先生からのメールって何だったんだろう?

"ちょっと話しがしたいから駅で待ってる"

…………もしかして…怒ってる?

絵文字が一つもないのって珍しい…。

顔の見えないメールは、唯が不安になるから…って

ハートか笑顔が必ず入ってる。

それなのに…すっぽかすような事しちゃった。

…………どうしよう~。

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