キンダーガーテン    ~温かい居場所に~
二人にはずっといて欲しいけど…

そんな願いが届くはずもなく…

「仲良くね。」

「不安にさせないでよ~。直ぐ泣くんだから。」って降りて行った。

……………………………………。

二人が降りて30分。

無言の先生がひたすら車を走らせる。

少し怒ってる横顔を見たら…怖くなって、下を向くことしか出来ない。

………………………。

広い駐車場に車は止まった。

……先生は、ハンドルに頭を預けて…相変わらず何も言ってくれない。

ふっと、顔を上げて外を見ると…

ここは、前に一度連れて来てもらったことのある場所。

…ホワイトデーに"付き合おう"って言ってもらった…展望台。

ここから、先生との交際がスタートしたんだよね。

今日は上に上がる事もなく…車の中に重たい空気が充満する。

…………………………。

何も言わない先生。

唯から…何か聞いた方が…いいのかなぁ。

…………でも、何て?…。

怒ってるって、ハッキリ分かる先生に…何が聞ける?

唯がもっと、察しのいい人間なら…分かるのかな?

どうする事も出来なくて…一人、バカみたいな事を考えてたら…

……………………………………。

「唯ちゃん……。」

……やっと…名前を呼んでくれた…。

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