恋愛覚悟
さよならの仕方とその後の進み方
その次の週、彼と東京タワーが見える40階のレストランで食事をしながら、また頬が痛くなるほど、笑った。
美味しい食事をした後に、私の返事を待たずに、ホテルの予約をしていた。なんと、都内の高級ホテルのスイートルーム。1日10万円以上するであろう部屋だった。
その日の夜、彼と部屋から見た夜景はなんだか幸せ過ぎてせつなく、いつもと違ってみえた。
その夜、私は、ホテルの部屋から彼の鼓動を感じながら下に広がる夜景を話をしながら見ていた。
気がつくと、見ていた夜の夜景は、朝の日の出に照らされてきた。その朝日は、私には眩しすぎて、彼との時間の終わりを示しているようなそんな感じがして、彼の手を強く握った。眩しすぎる朝日の下で、彼を見失わないように。
しかし、そんな甘い関係が、一生続くはずはなかった。
静かな余韻もなく突然終わるものだ。 当たり前のように彼と、週末に麻布のバーで飲んでいた時、彼は何の前触れもなく、そっと打ち明けた。
自分が転勤になったことを。座っていたカウンターのイスから崩れ落ちそうになり目眩がした。
彼は続けた。「ニューヨークに来月異動になった。」
これからの毎日、彼なしにどう過ごしたらいいのだろうか。
しばらく沈黙が続いた後に、「彼女さんは?」と、りょうちゃんに聞いてみた。
彼は、「彼女も一緒に行くよ。」と答えた。
私は、視線を外の夜景に移した。
もう夜景を一緒に見ることもなくなれば、この夜景の中に彼を感じることができなってしまう。涙で夜景がにじむ。
彼が、こちらの様子を伺っているのが分かった。彼の顔は見ることができずにそのまま夜景を見ながら、グラスをゆっくり傾けた。
グラスを傾けている私の手を、彼が大きい両手ぎゅっと上から握ってきた。彼の手から伝わるぬくもりが、ますます私のプライドを高くさせる。ありがとうとお互いに感謝した記憶はほんやりとある。
私は、いや彼ももうずっと気がついていた、今日で最後にしなければなないと。
「じゃあね!」強がっていつも通りの挨拶で別れを告げてバーを去った。
彼も、頷いて、「うん、じゃあね。」
彼に背を向けて少し勢いをつけて彼から離れていった。心の中で、もう一度「じゃあね」とつぶやいた。
彼の視線が、私の離れていく背中に注がれていたのかどうかは、分からない。
それから、私は本気で仕事をした。あの時ほど、仕事があってよかったと思ったことはない。
以前よりも、忙しくなった。けれど、私はそんな忙しい日々の中でも新しく始めたことが二つあった。
ひとつは、英語だ。ニューヨークへいった彼への未練がどうかは分からない、でも英語を始めた。
もう一つは、彼との思い出をこうやって書き留めておくことだ。元彼に振られて、自信を全く無くし、人生の浅い絶望という沼にいた私を、彼は救ってくれた。仕事も恋愛も受身だった私の人生。何か予期せぬことがおこっても、回りのせいにしていた私は、彼と出会ってから自ら自分の人生を請け負うことがどういうことか知った。仕事も恋愛も、自分の人生を自分の責任で歩めるようになった。彼の連絡先は、もう消してしまった。もう会うことは一生ない。
恋愛ジェットコースターを降りた私はきっとこれまでよりも強く進める、そう願っている。
美味しい食事をした後に、私の返事を待たずに、ホテルの予約をしていた。なんと、都内の高級ホテルのスイートルーム。1日10万円以上するであろう部屋だった。
その日の夜、彼と部屋から見た夜景はなんだか幸せ過ぎてせつなく、いつもと違ってみえた。
その夜、私は、ホテルの部屋から彼の鼓動を感じながら下に広がる夜景を話をしながら見ていた。
気がつくと、見ていた夜の夜景は、朝の日の出に照らされてきた。その朝日は、私には眩しすぎて、彼との時間の終わりを示しているようなそんな感じがして、彼の手を強く握った。眩しすぎる朝日の下で、彼を見失わないように。
しかし、そんな甘い関係が、一生続くはずはなかった。
静かな余韻もなく突然終わるものだ。 当たり前のように彼と、週末に麻布のバーで飲んでいた時、彼は何の前触れもなく、そっと打ち明けた。
自分が転勤になったことを。座っていたカウンターのイスから崩れ落ちそうになり目眩がした。
彼は続けた。「ニューヨークに来月異動になった。」
これからの毎日、彼なしにどう過ごしたらいいのだろうか。
しばらく沈黙が続いた後に、「彼女さんは?」と、りょうちゃんに聞いてみた。
彼は、「彼女も一緒に行くよ。」と答えた。
私は、視線を外の夜景に移した。
もう夜景を一緒に見ることもなくなれば、この夜景の中に彼を感じることができなってしまう。涙で夜景がにじむ。
彼が、こちらの様子を伺っているのが分かった。彼の顔は見ることができずにそのまま夜景を見ながら、グラスをゆっくり傾けた。
グラスを傾けている私の手を、彼が大きい両手ぎゅっと上から握ってきた。彼の手から伝わるぬくもりが、ますます私のプライドを高くさせる。ありがとうとお互いに感謝した記憶はほんやりとある。
私は、いや彼ももうずっと気がついていた、今日で最後にしなければなないと。
「じゃあね!」強がっていつも通りの挨拶で別れを告げてバーを去った。
彼も、頷いて、「うん、じゃあね。」
彼に背を向けて少し勢いをつけて彼から離れていった。心の中で、もう一度「じゃあね」とつぶやいた。
彼の視線が、私の離れていく背中に注がれていたのかどうかは、分からない。
それから、私は本気で仕事をした。あの時ほど、仕事があってよかったと思ったことはない。
以前よりも、忙しくなった。けれど、私はそんな忙しい日々の中でも新しく始めたことが二つあった。
ひとつは、英語だ。ニューヨークへいった彼への未練がどうかは分からない、でも英語を始めた。
もう一つは、彼との思い出をこうやって書き留めておくことだ。元彼に振られて、自信を全く無くし、人生の浅い絶望という沼にいた私を、彼は救ってくれた。仕事も恋愛も受身だった私の人生。何か予期せぬことがおこっても、回りのせいにしていた私は、彼と出会ってから自ら自分の人生を請け負うことがどういうことか知った。仕事も恋愛も、自分の人生を自分の責任で歩めるようになった。彼の連絡先は、もう消してしまった。もう会うことは一生ない。
恋愛ジェットコースターを降りた私はきっとこれまでよりも強く進める、そう願っている。