見返橋
僕達は早速橋を渡り始めた。
誰が振り向いて動画を撮るかは、事前にジャンケンをして決めていた。
ジャンケンで負けた、麗蘭になったのだ。
『こっ...怖いよお...』
麗蘭はガタガタと震えている。
もうすぐで橋を渡り終えちまう。
僕達は慌てて、麗蘭に振り向くように頼んだんだ。
そりゃそうだろ?
振り向かないで帰ったら、なんも変わらねぇからな。
だけど結局麗蘭は振り向かず、橋を渡り終えちまった。
『しょーがねぇな...帰るか』
なんて僕たちは言って、自転車にまたがったんだ。
...けどな、変なんだ。
ペダルを漕いでも、自転車が進まねぇんだよ。
僕たちはハッとして、自転車のタイヤを見た。
案の定、タイヤは全部パンクしてた。
変な話だろ?
見返橋に来てたのは、僕達だけのはずなのにさ。
僕たちはただでさえ、麗蘭が振り向かなかったことにイライラしていた。
それにタイヤのパンクが重なって、僕たちはその怒りを、麗蘭にぶつけた。
『なんて振り向かなかったんだよっ!
お前なんて、置いてってやる』