パノラマ・ビュー ~夜景の広がる部屋で~
部屋に戻ると大きな窓には、宝石を散りばめたように美しい夜景が広がっていた。

「わぁ…」

窓に貼りつく佐野の背中ごと、その景色に見とれる。
シャワーを浴びてから飲み直そうということになり、とりあえずオレが先にバスルームへと向かった。

シャワーを浴びて戻ると、部屋の照明が落とされダウンライトだけになっていた。
佐野が向こう側のベッドで小さく膝を抱えている。

「どした?」

ギュッと抱えた膝に頭を乗っけて俯いている佐野が、顔をあげてこっちを向く。

「こうしていると、夜景の中にいるみたいで綺麗しょ?」

「え、ああ、ホントに…」

暗い部屋はパノラマに広がる夜景と一体化されて、まるで煌めく光の上にいるようだった。

「じゃあ、わたしもシャワーしてこよっかな」

サイドテーブルのスイッチに手を伸ばして、佐野が部屋を少し明るくした。

「大丈夫か?」

そう聞いたのは、さっき泣いてたように見えたから。

「何が?」と笑った佐野を見たら、気のせいかとは思ったけれど。

「それ着たんだ、バスローブ」

佐野がオレの恰好を見て言う。

「うん」

さすがにパンイチじゃあマズイと思って…。

「よし。わたしも着てみる」

なぜかそう宣言して、佐野はバスルームへとはけていった。
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