君のまなざし
戸惑い

鈴木との関係

あれからたまに美樹さんから飲み会のお誘いがかかるようになった。

祐也が遠征や学校行事なんかで留守になり、絵里子さんが出掛けられる日を選んでいるらしい。

絵里子さんは酔うととても可愛らしくなる。
いつもの清々しく凛々しいまなざしはなくなり、潤んだ瞳でころころと笑ってばかりいる。

この飲み会を楽しみにしていた。
もちろん、目的は絵里子さん。

祐也から絵里子さんを誘う許可をもらってはいたが、なかなかそれを実行する勇気もタイミングもなく時間だけが過ぎていた。

だから、美樹さんの飲み会にはなるべく参加できるように都合をつけていた。

でも、気になるのが、鈴木も参加率が高いこと。
職場の飲み会は欠席の事もあるのに。
特に女性が同席するような飲み会は来ない事が多い。

それなのに、女性が半数を占めるこの飲み会は参加。
この中の誰かに興味が合って参加している可能性が高いだろう。

まさか、目的は絵里子さんなのか。

よく2人は隣り合って座っている。
とはいえ、ずっと一緒にいるわけではなく、途中で絵里子さんが移動して俺の隣に来てくれることもある。

でも、鈴木の絵里子さんを見る目が優しいことに気が付いていた。
2人とも馴れ馴れしくしてはいない。2人だけの雰囲気を作るわけでもない。
だけど、鈴木の表情は明らかに違う。

普段の鈴木の女性に対する態度は氷のよう。
でも、この飲み会では女性にも普通に接している。これも不思議。
更に、絵里子さんに対しては表情が柔らかい。

まぁ、それだけ絵里子さんが魅力的ってことなんだろうけど。


鈴木は今夜はこの後にまだ予定があるからとノンアルコールを飲んでいた。
今日も絵里子さんの隣に座って、まいちゃんを見張るようにしている。

まいちゃんは絵里子さんが大好きらしい。
しかし、まいちゃんも懲りないな。
絵里子さんが酔うと絵里子さんにキスしようとしたり抱き付いたりする。
毎回美樹さんに怒られてシュンとするんだ。

絵里子さんから離して座らせるんだけど、いつの間にか絵里子さんの近くにいる。
すごいよ。ちょっとうらやましいくらいのパワー。
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