君のまなざし
ふたりの距離
涙
トレーニングマシンの機械的トラブルがあって帰宅がいつもよりかなり遅くなった。もうすぐ日付が変わる。
赤信号で止まっていると右折車の列によく知った青いスポーツクーペを見つけた。
急いでウインカーを出し周りの安全確認をして右折車の列に並ぶ。
こんな遅い時間に。
幸い交通量は少ない。
すぐに絵里子さんの青いクーペに追い付くことができた。
隣の車線に入り運転席の彼女の様子を窺うと、前と同じ表情をしていた。
胸がぎゅっと締め付けられた。
信号が赤に変わり停車すると同時に車を降りて青いクーペの運転席の窓ガラスを軽くノックした。
いきなり窓ガラスを叩かれ、ビクッと驚き怯えた表情をしたがすぐに俺だと気が付いてくれた。
窓を開けて貰うと
「すぐそこのコンビニの駐車場に入って下さい。すぐそこ。絶対に入って下さいね」
とだけ言って自分の車に戻った。
絵里子さんは驚いた顔をしていたが、俺の勢いに推されたのかこくこくとうなづいていた。