君のまなざし
この間は不意打ちで絵里子さんにキスされた。
あまりの素早さに反応できなかった。あれは絵里子さんのやり逃げ。

今日のキスは絵里子さんの涙の味。
次第に深くなるキスに「んんっ」絵里子さんの声が漏れる。

「んー」
両手で胸を押されて絵里子さんが離れる。
困った顔をして「涙を拭きたい」と言って近くのティッシュの箱に手を伸ばす。

「いいよ、どうぞ」唇を離されて不満だったから、ちょっといじわるをする。
ティッシュで顔を拭う絵里子さんの胸元に顔を埋めて深く息を吸った。
「きゃっ」

「いいよ、まいちゃんみたいに俺は勝手に絵里子さんを堪能してるから。絵里子さんは涙拭いてて」
胸に鼻をくっつけて頬ずりする。
「もうっ」

声は怒っているけど、自分の胸にしがみつくように顔を埋めている俺の頭を撫でてくれる。

柔らかい感触と甘い匂い。
このままずっと溶けるように抱き合っていたい。

胸から顔を上げるとまた、絵里子さんの唇を奪った。
さっきよりずっと深く…。
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