君のまなざし
「親父、最悪だな」
「でもな、俺があのまま絵里子を束縛してたらどうなる?別れたい理由を言ったら絵里子は俺の束縛を受け入れて我慢してずっと苦しむよ。だったら、俺の束縛の籠から解放してあげるのが愛だろ」
自信たっぷりに理解不能な発言をするこの人が信じられない。俺の半分はこの人で出来ていると思うとちょっとショック。
「じゃあまだ母さんを愛してるってこと?」
「当たり前だろ」
ますます信じられない。何それ?
で、誰この人、宇宙人とか?実は違う星の人で、地球人とは愛し方が違うとか?
「近くにいなくていいんだ。絵里子が幸せならな。むしろ近くにいちゃダメなんだ。俺は離れた所から一生絵里子を愛し続けるんだ。もちろん、お前のこともな。この話、絵里子には言うなよ」
「もう、ホントにわけがわからないよ。
離婚したことで母さんが笹森の会社の株式だかなんだかの経営権争いに巻き込まれたんだろ。大変なんだぞ。俺まで誘拐されそうになるし。
それに、母さんが他の男と再婚とかしてもいいわけ?よその男のものになっちゃうんだぞ」
「ああ、会社の事は悪かったな。絵里子はともかく、お前は笹森家唯一の御曹司だから、また狙われることもある。
海外留学した方が安全と言えるし、俺が守ってやれる。
絵里子はさみしがるだろうが。
でも、絵里子だって恋愛すればいいんだ。絵里子がそいつのことを本当に欲しいと思えば、いいよ。絵里子が幸せになるならな。
それより、その前に絵里子の相手をお前や鈴木先生んちの凌や隼が認めるかどうかだろ」
くくくっと笑った。
「え、凌さんと隼くん?」
「だって、あいつらかなりのシスコンだろ。血の繋がってない『絵里子姉ちゃん』対してさ」
あー、まぁそうか、そうだな。
凌さんの母さんに対する態度はともすれば家族以上。
俺は小さい頃から可愛がってくれる凌さんと凌さんの弟の隼くんは、母さんの弟なんだと数年前まで思ってた。
そして鈴木先生と奥さんのことは祖父母だと。
でも、血の繋がりなんてどうでもいい。
あの一家は本当に俺たち親子を大切に思ってくれている。
家族以上だ。
「うん、俺と凌さん隼くんで見極めないとね」
「頼むな」
「親父は再婚しないの?彼女とかいる?」
「再婚なんて考えられない。絵里子よりいい女がいれば考えるよ。いるとは思えないけどな」
ははっと笑った。
親父の気持ちはわからないけど、母への愛は深いようだ。
その頃から俺は母さんを守る男になろうと思った。
母さんのことを『絵里子さん』と名前で呼ぶのもそのためだ。
「でもな、俺があのまま絵里子を束縛してたらどうなる?別れたい理由を言ったら絵里子は俺の束縛を受け入れて我慢してずっと苦しむよ。だったら、俺の束縛の籠から解放してあげるのが愛だろ」
自信たっぷりに理解不能な発言をするこの人が信じられない。俺の半分はこの人で出来ていると思うとちょっとショック。
「じゃあまだ母さんを愛してるってこと?」
「当たり前だろ」
ますます信じられない。何それ?
で、誰この人、宇宙人とか?実は違う星の人で、地球人とは愛し方が違うとか?
「近くにいなくていいんだ。絵里子が幸せならな。むしろ近くにいちゃダメなんだ。俺は離れた所から一生絵里子を愛し続けるんだ。もちろん、お前のこともな。この話、絵里子には言うなよ」
「もう、ホントにわけがわからないよ。
離婚したことで母さんが笹森の会社の株式だかなんだかの経営権争いに巻き込まれたんだろ。大変なんだぞ。俺まで誘拐されそうになるし。
それに、母さんが他の男と再婚とかしてもいいわけ?よその男のものになっちゃうんだぞ」
「ああ、会社の事は悪かったな。絵里子はともかく、お前は笹森家唯一の御曹司だから、また狙われることもある。
海外留学した方が安全と言えるし、俺が守ってやれる。
絵里子はさみしがるだろうが。
でも、絵里子だって恋愛すればいいんだ。絵里子がそいつのことを本当に欲しいと思えば、いいよ。絵里子が幸せになるならな。
それより、その前に絵里子の相手をお前や鈴木先生んちの凌や隼が認めるかどうかだろ」
くくくっと笑った。
「え、凌さんと隼くん?」
「だって、あいつらかなりのシスコンだろ。血の繋がってない『絵里子姉ちゃん』対してさ」
あー、まぁそうか、そうだな。
凌さんの母さんに対する態度はともすれば家族以上。
俺は小さい頃から可愛がってくれる凌さんと凌さんの弟の隼くんは、母さんの弟なんだと数年前まで思ってた。
そして鈴木先生と奥さんのことは祖父母だと。
でも、血の繋がりなんてどうでもいい。
あの一家は本当に俺たち親子を大切に思ってくれている。
家族以上だ。
「うん、俺と凌さん隼くんで見極めないとね」
「頼むな」
「親父は再婚しないの?彼女とかいる?」
「再婚なんて考えられない。絵里子よりいい女がいれば考えるよ。いるとは思えないけどな」
ははっと笑った。
親父の気持ちはわからないけど、母への愛は深いようだ。
その頃から俺は母さんを守る男になろうと思った。
母さんのことを『絵里子さん』と名前で呼ぶのもそのためだ。