君に、一年後の約束を。
『冗談でこんな事言わない』
『そっか、ごめん。あんまり真面目な顔してるから、勘違いするところだった。友達としてって意味だよね。それなら、』
『んな訳ねぇだろ』
そうであってほしい、と言う微かな希望を打ち破るかのように、岳琉は容赦なく私の言葉を否定した。
『一人の男として、お前が好きだって言ってんだよ』
『な、なに言ってるの。だって今までそんな素振り・・・』
『俺がんな事言ったら、お前が困るだろ。だから、言うつもりなんてなかった。お前が幸せにしてんならそれで良かった。一番信頼できる同期として側にいられんなら、それで良かったんだよ』
無駄にイケメンのこいつは、これまでだっていろんな女の子からお誘いを受けていたはずだ。
知っている限り特定の彼女を作った事はないけれど、それは色々遊びたいからだって、いつも軽い事を言っていたし。
同期の中じゃ一番の遊び人で、仲間内では彼氏にしたくないナンバーワンとまで言われているような奴なのに。
『今は、俺を友達としてしか見てないって知ってる。でも、スタートラインに立つために、言う事にした』
『スタートライン?』
『これからは、そういう対象としてちゃんと俺を見て欲しい』
『・・・・・・』
出来るなら、こんなこと言わないで欲しかった。
壊れることのない関係のままで。
ただの友達として。
楽しい気分のまま、今日を終えたかったのに・・・。
『ごめん、無理』
『なんで』
『今は誰とも付き合う気になれない』
『だから、今じゃなくていいって。これから考えて欲しいって言ってんだろ』
『これからも、無理だと思う』
『なんでだよ』
もう、あんな思いはしたくない、というのが本音。
あんな風に、信じていた人に裏切られるなんて、もうこりごり。
だから、岳琉との恋愛なんて考えられるはずがなかった。