永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「はぁっ、馬鹿、心配かけさせんなっ」

「なっちゃん……っ」


荒い呼吸で、なっちゃんが私を引き寄せる。

感動の再会かのように、私もヒシッと抱きついた。


「良かったっ、なっちゃんがいるっ」

「目離した俺が馬鹿だった……悪い」


抱きしめてくれるなっちゃんの腕にホッとする。

あぁ、やっと安心できた……。


「ごめんね、私が見失ったから……っ」

「今度は、手ぇ繋いどくか。もう離さねーから、お前も離すなよ」


そう言ってなっちゃんは私の手を握る。

強くて、私のとは違うゴツゴツした大きな手。


「うん!」


離さない、そんな意味を込めて強く握り返した。

こうして、再会した私達はようやく、電車に乗り込む事が出来たのだった。



< 117 / 322 >

この作品をシェア

pagetop