永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「ふう……」

黒い笑みを浮かべるなっちゃんに、ゴクリと唾をのむ。

あぁ……顔にすぐ出るの、直さなきゃなぁ。


「ご、ごめんなさい……」

「置いてくぞ、コノヤロウ」


とかいいながら、なっちゃんは私を置いて行ったりしないんだろう。

こんなに怖い顔だけど、優しくて、面倒見がいいから……。


『次は、本八幡〜、本八幡〜』

「次、乗り換えんぞ」


なっちゃんが私の体を引き寄せる。

それに、心臓がトクンッと小さく跳ねた。

なに、今の………。

胸の不思議な違和感に首を傾げていると、背中側の扉が開いた。

なっちゃん、もしかして……扉が開くから、引き寄せてくれたのかな?

そんなことを考えていると、

「降りるぞ」

「う、うん!」


そう言って手を引かれて、私たちは押し出されるように電車を降りた。

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