永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


***


バイクで走ること1時間半、潮の匂いが鼻腔を掠めた。

ついに海沿いまでやってきたんだと心が踊る。

目を凝らすと、月明かりにキラキラと輝く海と、小舟がいくつか泊まっているのが見えた。


「わぁっ………」


これが、夜の海っ……。

幻想的なその光景に、一瞬にして虜になる。

ようやく、ここまで来たんだっ。


すると、途中でバイクは失速し、海沿いの道路の端に止められた。


「休憩がてら、海でも見よーぜ」


そう言いながらヘルメットを外すなっちゃん。

その仕草の一つ一つがやっぱりカッコイイなと思った。


って、見惚れてる場合じゃなかった、私もヘルメット外さないと……。


「あれ?」


これ、つける時は簡単だったのに、外すの難しいな。

留め具を緩めながら紐をひっぱるタイプだったからか、不器用な私には少し難しい。

なんせ、自分の留め具の位置が見えない。



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