永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「夜の海、昼間の海…同じ海でも、時間とか、見る人の心で見せる顔が違うんだよね、きっと……」


それを、ずっと知りたいと思ってた。

私の知らない景色、また一つ知れたなぁ……。


「お前、不思議な事言うのな……」

「え、そうかな?」


驚いたように私を見つめるなっちゃん。

特別不思議なことを言ったつもりは無かったけど……。

いつも、感じてた事だった。


「なっちゃん、私……今がすごく楽しい」

「ふう……」

「なっちゃんと病院を出てからは、新しい発見がいっぱいあるんだ」


だから、あの場所でなっちゃんに出会っていなかったことを思うと怖い。


でなきゃ、私は今ここにはいなかったと思うから。


あの病院で、手術を受けて、また代わり映えのない毎日に戻る……。


自分の意思なんて無い、世界に彩りなんて感じないまま、ただ生きていたかもしれない。


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