永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。



「ごめん、なっちゃん………。私、忘れちゃってたんだね……」


私は、行きたい場所に行き、生きたい人と生きるためにこの旅に出た。

そしてなっちゃんは……生きる理由を見つけるために。


『………ふう、俺の……っ、事は、巻き込んで……っ、くれねーのか……?』


なっちゃんの言葉、そういう事だったんだ。


なっちゃんは、この旅が私だけのもののように言ったことが、寂しかったのかもしれない。


だって、逆の立場なら……私も寂しいと思うから。


「もう……私の旅だけじゃない。なっちゃんの旅でも……あったのにね……っ」


泣きながら笑えば、なっちゃんは満足したように笑顔を返してくれる。


「分かってんじゃ、ねーか……」

「なっちゃんが、気づかせてくれたんだよ」


伸びてきた手が、私の頬に触れる。

熱を持ったなっちゃんの手は、そのまま私の涙を攫っていった。



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