永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


「旅を続ける事が、すごく……怖いんだ…」

「なんつー顔してんだよ、ふう……」


たぶん、私はものすごく不安な顔をしてるんだろう。

だから、頭を撫でてくれた手を握った。


私を見つめる優しいこの人の温もりが消えてしまうなんて、絶対に嫌……。


「俺は、いなくなったりは……っ」


そこまで言って、なっちゃんは口を閉ざす。

気づいてしまったんだろう。

なっちゃんにも、私にも……いなくならないなんて保証は、どこにも無いんだって。


「………俺も、ふうも……いつか、離れ離れになる時が来るのか……」


なっちゃんは、誰に問うでも無く、繋いだ手を強く握った。

なっちゃんも……怖いのかな?

私たち、このまま進んでもいいの……?



そんな不安が胸に渦巻いて、何か言わなきゃと思うのに、言葉が出ない。


この時の私達はただ見つめ合うことしか出来なかった。



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