永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。
「文さんの旦那さんは……」
話を逸らそうと、話を変えると、文さんは少しだけ遠い眼差しをして、笑みを浮かべた。
あれ、どうして文さんはそんな顔を……?
その表情の意味が分からなくて、首を傾げると、文さんは箸を置いた。
「私の旦那はね、私より先に空へと行ってしまったわ」
「あっ………そんな、ごめんなさい……」
私、なんて無神経な事を言っちゃったんだろう……。
そんな悲しさを感じさせないほど、文さんは笑顔だったから……。
「あら、いいのよ?こうして、あの人の話が出来るのも、随分久しぶりで、嬉しいの」
そう言って私を気遣うように微笑む。
それに、少しだけ心が救われた気がした。